繰り返しつくる一生ものの和食、アジの南蛮漬け
Vol.1 アジの南蛮漬け
料理をつくるたびに、レシピを検索するわたし。
以前つくった料理をまたつくろうと思ったら、スマホを手にとりまたレシピを調べ直す。
一度つくった料理が自分の中に、なかなか蓄積されず、料理をする度にいつも初心者に戻ってしまう。その時々で、仕上がりにブレがある。
いつでも、どんなときも、間違いない味に仕上げられて、これならと自信をもってお出しできる。そんな料理をしっかりと身につけることができたなら。
私たちはそれを、“一生もののレシピ”と名付けたいと思います。
一度覚えたら、これから先、ずっとつくりつづけたいレシピ。
まず身につけたいのは、誰もが好きで、人生の中でも何度も食卓に登場する基本の和食。
それを、茅乃舎だしでつくってみます。
本連載では、茄子の揚げ浸し、かぼちゃの煮物、豚の角煮、だし巻き玉子をご紹介しました。今回は南蛮漬けです。
本連載では、できる限り
・材料をシンプルに
・だしと基本調味料を使う
・日本料理の基本の調理法を取り入れる
を考えて仕上げたレシピでご紹介します。
シンプルでもこんなに味わい深い料理に仕上がるのかと、和食のおいしさを見直すきっかけにもしていただけると思います。料理をおいしくするちょっとした和食のコツや、豆知識もお伝えします。知っておくと、他の料理でも応用ができる料理の知識として蓄えていただけます。
一生もののレシピを、あなたの頭の中に、手の中に。
アジを使った南蛮漬けをつくりましょう。
「南蛮漬け」は、“酢”料理です。
ですので、調味液の味の組み立て方としては、酢をベースに、“酢をやわらげていく”ようなイメージで、他の調味料を加えていきます。南蛮漬けには、いろんな考え方がありますが、お砂糖、醤油、お酒またはみりんを加えてつくられることが多いですね。
また、南蛮漬けは、本来、水を使いません。
どうしてでしょうか?
南蛮漬けは、保存できるものとしてつくられてきたお料理だからです。水が入ると保存性は弱まります。だから、水は入れないのが基本。調味料もよ〜く見てみてください。酢も、お砂糖も、お酒も、保存性を高める調味料ばかりですね。
こんな風にレシピの意図を読み解くと、むかしの人たちの工夫や知恵を感じられて、料理との向き合い方のヒントが得られる気がしてきます。
現代では、環境や設備もととのい、冷蔵庫での保存ができるようになりました。ですので今回の南蛮漬けは、お酒やみりんに代えて、だし汁を効かせることで、おだしと酢のバランスを楽しむレシピにしています。
それでは、つくっていきましょう。
「アジの南蛮漬け」の手順
アジの南蛮漬けの手順を大きく捉えると、下記の3工程になります。
①揚げる
②浸す
③冷ます
「アジの南蛮漬け」の大事なポイント
①まずは、酢1:砂糖1:醤油1をベースに。
②アジは、揚げすぎ!?と思うくらいがベスト。
「アジの南蛮漬け」のよくある失敗
南蛮漬けに限らず、酢料理の難しさは、時間を置いておく間に、どんどんと味が進化していくところ。
調理中に味見をした味と、食べる時の味が変わるため、思ったより酸っぱかった、思ったより薄かったということが起きます。そうそう、とご経験がある方も多いでしょう。
ですので、その点を頭におきながら、仕上がりで味を加減することも大事なことです。
おいしくつくるコツをおさえながら、調理工程を解説します。
アジの南蛮漬けの詳しいレシピはこちら
材料(3〜4人分)
- アジ(三枚におろしたもの)
- 3尾分
- 玉ねぎ
- 1個
- 人参
- 40g
- ピーマン
- 1〜2個
- 赤唐辛子
- 1本
- 揚げ油
- 適量
- 薄力粉
- 適量
【A】
- 茅乃舎だし
- 1袋
- 水
- 200ml
【B】
- 酢
- 大さじ4
- 砂糖
- 大さじ4
- うす口醤油
- 大さじ3
作り方
- ① 玉ねぎは3mmの薄切りにし、人参、ピーマンは細切りにする。Bはバットに入れて混ぜ合わせる。
- ② 鯵は、やや大きめのそぎ切りにして塩少々(分量外)をふり、約5分おいて水気を拭き取る。
- ③ 鍋にAを入れて強火にかけ、沸騰後中火で2-3分煮出す。150mlのだし汁をBのバットに加える。
- ④ ②の鯵に薄力粉を薄くまぶし、170℃に熱した揚げ油でからりと揚げ、揚げたてをBの南蛮液に漬ける。
- ⑤ ①の野菜、赤唐辛子を加えてつけ込み、約1時間置いていただく。
①アジと野菜の下準備
玉ねぎは、薄すぎず、3mm幅に切ることで、シャキッとした食感を楽しめます。
鯵は、お店で買ってきた切り身を使えば、お魚料理ももっと身近になります。今回は、切り身の状態からの下処理をご紹介します。お魚の水気と臭みを除くために、塩をしていきます。
アジは揚げると小さくなりますので、この段階では食べる時のサイズよりやや大きめのそぎ切りにします。塩少々をふり、約5分おきます。塩の力で、水気が出てくるので、ペーパータオルを被せ、水分を拭きとります。薄力粉を薄くまぶしましょう。
②酢1:砂糖1:醤油1。
そこから、だし汁で味をやわらげる発想で。
先にお伝えしたように、酢をベースにして、味を組み立てていきます。
酢1(大さじ4):砂糖1(大さじ4):醤油1(大さじ4)。同量に配分するイメージです。今回は、塩味の強い“うす口醤油”を使いますので、そこから醤油をすこし控えめに、大さじ3で調整します。
②だし汁を加え、2〜3倍で薄める。
その後は、煮出しただし汁(茅乃舎だし1袋と水200mlでだしをとる)を加えて、どれだけ酢をやわらげていくか?だいたい2〜3倍で薄めていくイメージです。2倍なら酢感がたった味わい、3倍ならよりやわらかい味わい、といった具合です。ここはお好みの加減にしてください。だし汁が熱いうちに合わせることで、砂糖もちゃんと溶け、酢のカドも取れます。これで調味液は完成です。
レシピがなくとも、覚えられそうな配合ですね。
③水分が抜けきるまで、しっかり揚げる。
アジを揚げていきましょう。
まぶした薄力粉は、しっかりとはたいてください。
この気遣いで、揚げ油の汚れが減ります。
アジを入れたら、しばらくはお箸で触らないようにしましょう。魚に水分が含まれるため、大きな気泡が出ます。
しばらくして、お箸で触ってみて、表面が固まった感じになり、軽く色づいてきたら裏返しましょう。この時は、気泡も小さくなっています。
裏返すと、また気泡も音も大きくなります。
おいしさの決め手は、長めに揚げること。
南蛮の場合は、魚をカラリと揚げることが大切です。
ちょっと揚げすぎかな?と思うくらいが、ちょうどいい揚げ加減。
天ぷらやフライの感覚よりも、もうひと息待って揚げてみましょう。
最初は大きかった気泡が、次第に小さくなります。
泡が出る=水分が含まれている、ということ。泡が小さくなり、音が静かになってきたら揚げ終わりのサイン。アジの水分をしっかり抜くことで、この後の南蛮液がしみやすくなります。
揚げたてのアジ×冷ました南蛮液
揚げたてを南蛮液に漬けます。
野菜、赤唐辛子を加えて漬け込みます。全体が南蛮液に浸かるように途中で具材を返しながら、約1時間おいたらできあがりです。野菜から出る水分も計算していますので、南蛮液がまろやかな味わいになっていきます。
基本の和食、「アジの南蛮漬け」の完成です。
からだが欲する酸味のきいた味わい。野菜がたっぷり摂れるのもうれしいです。南蛮漬けは、鮭や野菜に変えて応用もできますよ。ぜひお役立ていただけたらと思います。
豆知識①
アジの中骨を確かめましょう。
買ってきた切り身を使うと、手間が省けます。切り身は、基本的には骨抜きをしてありますが、念のため、骨が入っていないか確かめましょう。骨があると、口の中を切ってしまう恐れがあります。
指でそっとなぞって、中骨を探します。もし骨が残っていたら、ピンセットを使い、指で身を抑えながら、尾から頭に向かって身に沿って抜き取ります。
ご自身で3枚おろしをされる場合は、ぜいごもそぎます。
豆知識②
豆アジを使うときは?
豆アジで作る場合は、内臓をとった後、丸ごと揚げます。二度揚げすると良いでしょう。
今回紹介した商品
素材の味を生かす料理では、だしの質が仕上がりを左右するため茅乃舎だしを使用しています。香ばしい香りと奥行きのある味わいが広がり、料理全体の味をやさしくまとめてくれるのが魅力です。
本連載のレシピを考案していただいています。
「お料理は、ていねいにつくるとそれに応えてくれます。料理をうつくしく、おいしく仕上げるために重要なのは、ひとつひとつの工程を丁寧に仕上げていくこと。切り方、混ぜ方、粉の付け方、焼き方・揚げ方などの作業をきちんと積み上げていけば、自ずとできあがりはうつくしくなります」
フードスタイリスト
山田洋子さん
茅乃舎の季刊誌「てまひま」でも活躍中。江戸懐石近茶流 教授の資格を保有し、日本料理の技術や作法など裏打ちされた料理の知識と技を持ち合わせながら、和食をはじめとしたご家庭でもつくりやすいレシピを提案。料理のうつくしさと、繊細な味つけに定評がある。
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