
新米の季節に
教えて、お米屋さん
今年収穫された「新米」が店頭に並び始めました。艶があってふくよかなお米をおいしく味わうために、改めてお米の基本をおさえましょう。
ツヤツヤふっくら
新米が出回り始める季節です

新米はその年にとれたお米のことで、年末までに精米、包装されたものを指します。全国の産地のものが出揃うピークは9〜10月。
艷やかで香り高く、炊きあがりもふっくら。そんな新米の季節を心待ちにしている方も多いでしょう。今回はお米をよりおいしく味わうためのポイントをお米のプロにうかがいました。
お米マイスターさん直伝
お米選びのチェックポイント
お話を聞いたのは、福岡県友丘にある「屋部商店」五ツ星お米マイスターの中島拓海さん。 「新米に限らず、お米を選ぶ際に気にかけていただきたいのが、粒が揃っているか。良いお米はふるいにかけて、小さな粒や割れているものが混ざらないようにしています。また精米日が近いと劣化が少ないので、袋の表示もチェックしましょう」。

手早くが基本
改めて、お米の研ぎ方

新米はフレッシュな香りが持ち味。さらにお米は表面にうまみの層があり、研ぎ方で炊きあがりに差が出ます。「傷つけないように、2分以内で優しく手早く研ぐことが大切」と、中島さんのお母さんが基本の研ぎ方を実践してくれました。
- お米の研ぎ方
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- 【研ぎ方】
- ❶ 米の量はきちんとすり切りで計量する。
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- ❷ ボウルにお米を入れ、キレイな水で軽くすすいで、すぐに水を切る。
- ❸ 指を軽く丸めた状態で、20回ほどシャカシャカと回して研ぐ。この時力を入れてゴシゴシ研がないように。
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- ❹ 水を加えて1〜2回すすぐ。精米して2週間以内なら、これで完了。
- ❺ 2週間以上たっている場合はもう一度10回ほど回して研いで、1〜2回すすぐ。
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- ※お米の状態によって、研ぐ回数、すすぐ回数は異なります。水を加えてお米がうっすら透けるくらいの透明度が目安です。
うまみを逃さないための
2つの工程
さらにお米のうまみを逃さないためにも、浸水と蒸らしは必要な工程とのこと。「研いだお米を30分〜1時間水に浸しますが、デンプンが溶け出さない15℃以下の水を使用するのがポイントです」。水に浸してラップなどで蓋をし、冷蔵庫に入れても良いそうです。
その後、炊飯器や土鍋で炊きますが、土鍋の場合は炊きあがり後15分ほど余熱で蒸らして芯までふっくら仕上げます。毎日食べるものだからこそ基本を意識して、おいしい新米との出会いも楽しみましょう。

新米をおにぎりで
いただきます
この日は新米のおいしさを堪能できるおにぎりをご馳走になりました。米粒が立って口の中でほぐれる絶妙な握り加減。炊きあがったご飯をお皿に広げて、空気を含ませてから握るのがポイントとのこと。それをふわっと丸く握ってから、軽く押さえて三角形に成形します。

白むすびはもちろん、アレンジおにぎりのレシピも教えていただきました。

里芋とベーコンの
炊き込みおにぎり

- 作り方
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- 【材料(16個分)】
- 米3合、水540ml、里芋(皮をむいた状態で)250g、ベーコン80g、茅乃舎だし1袋、塩少々
- 【作り方】
- ❶ 米は研いで、浸水しておく。
- ❷ 鍋に里芋と水(分量外)、塩を入れて火にかけ、沸騰してから弱火にして5分程茹でる。水でさっと洗いぬめりを取り、1cm幅のいちょう切りに。
- ❸ ベーコンを5mm角に切る。
- ❹ ①を炊飯器または土鍋に入れて、茅乃舎だしと塩、②③を加えて炊く。(炊飯器の場合は通常モードで。土鍋の場合は強火で沸騰させてから弱火にし、トータルで15分火にかける。)
- ❺ 火を消して15分蒸らし、だしパックを取り出して混ぜ、握る。
- ※ 炊飯器の場合、水の量は目盛りに合わせる。
かますとすだちのおにぎり

- 作り方
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- 【材料(16個分)】
- 米3合、水540ml、かます2尾、すだち1個、 昆布だし1袋、海苔適量
- 【作り方】
- ❶ かますは前日に開いて塩をして一夜干しに。または、市販の一夜干しを用意しておく。
- ❷ 米は研いで、浸水しておく。
- ❸ 炊飯器または土鍋に②を入れ、袋を破った昆布だしを加えて炊く。
- ❹ ①を焼いて骨を取ってほぐし、すだちを絞ってかける。
- ❺ ③が炊きあがったら15分蒸らし、ごはんの中に④を入れて握り、海苔を巻く。
海老の天むす

- 作り方
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- 【材料(16個分)】
- 米3合、水540ml、海老16尾、海苔適量、A [ 天ぷら粉50g、水55ml、茅乃舎めんつゆ20ml ]
- 【作り方】
- ❶ 米は研いで、浸水しておく。
- ❷ 炊飯器または土鍋に①を入れて炊く。
- ❸ [A]を混ぜ合わせ、海老を1尾ずつくぐらせて揚げる。
- ❹ ②が炊き上がったら、15分蒸らしごはんの中に③を入れて握り、海苔を巻く。

「実は新米の中でも、品種や品質によって、2月頃に熟成されておいしくなるものもありますよ」と中島さん。新米が、奥深いお米の世界を知るきっかけになりました。贔屓のお米屋さんを見つければ、好みや用途によって選ぶ楽しみも増えそうです。

屋部商店
昭和32年創業。玄米仕入れの米の専門店。五ツ星お米マイスターの中島拓海さんが厳選した九州産をメインに、精米したてのお米を量り売りで販売。
http://kome.st
文/生野朋子 写真/勝村祐紀