つやぴか幸せ、だしがらふりかけをお供に。

炊きたてのお米はとびきりのごちそう。
はふはふと頬張ったときの幸せな気持ちは、ほかに代わりがありません。
新米の季節、秋ならなおさら。お米をもっとおいしく炊きたくなって、料理家の近藤直子さんを訪ねました。


お米をおいしく食べる
それがお米への愛のかたち

お米がおいしい季節です。ならば土鍋でさらにおいしく。そんな気持ちが高まって、料理家・近藤直子さんのお宅を訪ねました。お米好きで知られる近藤さん。お米の炊き方や味わい、ごはんのお供まで、常日頃から興味しんしん。「すべての食べもののなかでお米がいちばん好き!」と宣言するほどです。ご本人いわく、お米好きなのは「生まれつき、生粋のもの」。小学校の給食では配膳係に立候補して、お米がつぶれないように優しくそっと器によそっていました。「ごはんをしゃもじでぺんぺんと潰す男子が許せなかったくらい(笑)」というのも思い出です。学校から帰ると2合のお米を自分で炊き、おむすびで平らげるのもまた日課。夜は家族のためにお米を炊く。そんな女の子でした。近藤さんがお米へのてまひまをいとわなかった背景には、本気の〝お米愛〞がありました。幼い頃の「お米を自分好みに炊き、おいしく食べる」の決意は揺らぐことなく、今もお米への愛情は増すばかりです。


一晩かけて浸水すると
しゃきっと粒立ちします

「炊きたては硬めが大好き」と近藤さん。おいしく炊くコツは多々ありますが「まず、お米はこすらず、優しくなでるように洗ってくださいね」。また、近藤さんは、炊く前日夜から冷蔵庫の中で浸水させます。水加減は、米1:水1からさらに水を減らした割合がおすすめ。

「もうこれ以上減らせないという、ぎりぎりの水量で一度炊いてみてほしいです。おいしいですよ!」。浸水させたお米とその水は冷たいまま土鍋に移し、中火にかけます。

「キンと冷えた状態から沸騰するまで、温度差が大きいでしょう。その分、沸騰に時間がかかるので、お米のでんぷんがしっかり糖に分解され、ごはんの甘みがきわ立ちます」。勢いよく沸騰したら弱火で約10分。甘く香ばしい香りがしたら炊きあがりです。さっそく蓋を開けると、立ち上る湯気と香り。土鍋の中にはつやつや、ぴかぴか、いつもより美人なお米の姿。お米がひと粒ずつしっかりと立っている光景は、またたく間に食欲を全開にしてくれます。「うん、おいしそう!」と笑顔でうなずけるこの瞬間のために、毎日土鍋ごはんを炊きたくなります。近藤さんは炊きあがったお米をほとんど蒸らすことなく、おひつに移していきます。つまみ食いさせていただくとお米は少々アルデンテ。これからおひつの中で芯が弾力に変わり、ひと粒ひと粒が主張する近藤さん好みの食感に育っていくとのこと。お米をしゃもじですくう時は、鍋底から切り離すように。そうすることでお米の形状と食感を守ります。いつも朗らかな近藤さんがこの時ばかりは真剣勝負。どれだけのお米愛なのか、ひしひしと伝わります。

近藤さんはお米を炊く時に米農家さんから分けてもらった竹炭を入れています。炭は水道水のカルキ臭や米のヌカ臭さを吸着するので、炊きあがりの味がよくなるそうです。
「おいしくなるからやってみて」と勧められた農家さんの知恵です。


お米の味わいが引き立つ
塩むすびのつくり方

お米を塩むすびで味わいましょう。「手の平にお米をとり、ほぼ力を入れず、1回、2回と結ぶだけ。形は少々不格好でも、これがいちばん好き」と近藤さん。さっそく頰張ると、口のなかでほろりとほどけ、お米ひと粒ずつの存在感が際立ちます。塩だけで十分に引き立てられた、お米のうまみと甘み。究極にシンプルなごちそうです。塩むすびは「辛めの塩加減で外側部分に塩をつける要領で。もしあれば、パリッとした海苔で巻いて。それだけでもう最高。毎日だって食べられます」。ちなみにお茶碗でいただく時は、炊きたてほかほかのお米に、おろしたての生わさびをのせていただくのが大好物です。

だしのうまみがぎゅっと詰まった
ふりかけと味噌汁さえあれば

すこし特別な味噌汁を
新米おむすびに添える

「おむすびには、味噌汁ですよね」と近藤さんが旬のきのこで味噌汁をつくってくれました。「きのこを先に油でさっと炒めておくとコクが出て、うまみもぐっと増します。油揚げやお肉を入れなくても、ちょっと贅沢な味わいになりますね」。お米大好きな近藤さんは、味噌も米味噌派。「もしも時間がある時は、お味噌をすり鉢で擦ってきめ細かな状態でだしに溶いてみてください」とのこと。お味噌の風味がより豊かになって、味わい深くなるそうです。「なによりだしをしっかり使えば、味が決まります。具材は家にあるもので十分」。おむすびと味噌汁。ふりかけや梅干しを添えれば、立派な秋の食卓のできあがり。主役はもちろんお米。新米ならより特別に感じます。お米を炊くといっても気負わず、楽しく。「今回の炊き方でなくてもいいんです。好みって人それぞれですし、時が経つと変わります。その日の気分で、自分なりにおいしいと思えれば満足。元気に食べられること。それがいちばんの幸せですから」。そんな近藤さんの言葉に背中を押され、つやつやぴかぴかのお米、さっそく土鍋で炊いてみませんか。

炒めて、コクを引き出す
きのこの味噌汁
最初のひとてまで、うまみの幅が広がります。

[材料](2人分)

400ml

菜種油

大1

きのこ(お好みのもの)

今回は、えのき茸1/2袋、椎茸3枚、しめじ1/2株、舞茸1/2袋

ねぎ

適量

味噌

適量

[つくり方]

  1. きのこを手でさき、フライパンでから煎りする。
  2. 香りがでたら、油を加え、さらに炒める。
  3. 鍋に水とだしを入れ、煮出す。
  4. ③に②を入れ、味噌を溶き、ねぎを散らす。

煮出した後の〝だしがら〞ふりかけ。つくってみませんか。

※だしがらは、衛生上、保管に適しておりません。煮出してすぐにご利用ください。
※だしがらを取り出す際は火傷にご注意ください。

だしを取った後も茅乃舎のだしはまだうまみたっぷり。袋を破って、ぜひつくってみてください。

炊きたての土鍋ごはんに添えるのは、塩、わさび、ごま、海苔。そんなシンプルな食べ方を愛する近藤さんが茅乃舎のだし各種の〝だしがら〞でつくる、素朴なふりかけを考案してくださいました。だしをとった後にぱぱっと手早くつくれるのもいいところ。「だしの味も風味もしっかり残っています。これからはもったいなくて捨てられないですね」。少しだけてまひまをかけた、味噌汁と一緒にどうぞ。

これからの定番に
茅乃舎だし×すりごま

すりごまと調味料を加えるだけの簡単ふりかけ。

[材料]

茅乃舎だしのだしがら

4袋分

A

すりごま

大2

醤油

大1

みりん

大1

[つくり方]

  1. だしがらをフライパンでから煎りする。
  2. 水分が飛んだら[A]を加え、軽く炒めてなじませる。

とろみときのこが相性よし
昆布だし×えのき茸

〝だしがら〞はとろとろ。スプーンで袋から出しましょう。

[材料]

昆布だしのだしがら

4袋分

えのき茸

2袋

醤油

大2

みりん

大3

大1

50ml

少々

[つくり方]

  1. えのき茸を一口大に切る。
  2. ①と全ての材料を鍋に入れ、よく混ぜて15分置く。
  3. 材料がなじんで水分が出たら鍋を火にかけ、さっと煮る。

うまみぎっしり、おかず感覚
椎茸だし×鶏ひき肉

お肉でボリュームアップ。鶏そぼろのようなふりかけ。

[材料]

椎茸だしのだしがら

4袋分

鶏ひき肉

120g

砂糖

大1

醤油

大2

みりん

大1

生姜

1片(25g程度)

[つくり方]

  1. 生姜をみじん切りにする。
  2. ①と全ての材料を鍋に入れ、しっかり混ぜながら火を通す。

ほろ苦い個性派、大人味
煮干しだし×大根葉

力強いうまみの煮干しに、大根葉の存在感がよく合います。

[材料]

煮干しだしのだしがら

4袋分

大根葉

1本分

ちりめんじゃこ

大2

煎りごま

大1

醤油

大1

[つくり方]

  1. 大根葉をさっと茹で、細かく刻む。
  2. だしがらをフライパンでから煎りする。
  3. ①とちりめんじゃこ、ごまを入れ、醤油で味を調える。

新感覚の香ばしさ
鶏だし×おかきとナッツ

おかきやナッツなどの楽しい食感。香ばしい味わいです。

[材料]

鶏だしのだしがら

4袋分

お好みのおかき

10g

お好みのナッツ

12g

A

煎りごま

適量

うす口醤油

小1

小1/2

[つくり方]

  1. だしがらをフライパンでから煎りする。
  2. おかき、ナッツをミキサーで粉砕する。
  3. ①のフライパンに、②と[A]を加えて煎る。

料理家・近藤直子さん


茅乃舎の料理教室や「だしさえあれば」がテーマの献立づくりに携わる近藤さん。熊本県・黒川温泉の旅館や地域おこしのメニュー開発にも加わり、地域のおいしいものを掘り起こしています。

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