季節の自家製、旬の蓮根でだし福神漬け。
シャキッシャキッ、シャキッシャキッ。
咀嚼するたびにうれしくなる、あの食感を出したい時に登場させたくなるのは、そう、蓮根です。今では一年じゅう店頭で見かけるものの、本来の収穫時期は秋。
日常の食材からはそこまでかけ離れてはいないけれど、王道を張るほどのきらびやかさもない。
必要な時には買うけれど、余りがちでもある蓮根に、旬の今こそ光をあてたい。
そんな相談を、料理家のminokamoさんに持ちかけたところ
「じゃあ、minokamo流のおいしい福神漬け、つくっちゃおうかしら」
と、大乗り気。
福神漬けとは、とりどりの野菜類を調味した醤油液に漬けたもの。もともとは7種の野菜を用いるところから、七福神になぞらえてつけられた名前だとか。
「なので蓮根だけだと福神漬けと言うにはさみしいので大根、そしてできれば茄子も入れると、食感の変化が楽しめますよ。あと、ちゃんと余らせずに食べていただきたいから、アレンジ料理もがんばっちゃいますね」
今回も、ありがとうございます!では、さっそく福神漬けのつくり方から、どうぞ。
まずは材料を切って、下ごしらえ。
「蓮根は1節ずつ売られていることが多いのですが、大きさはまちまち。使い切るなら他の野菜の量を調整して、全部あわせて500gになるようにするとわかりやすいかもしれません」とminokamoさん。
まずは茄子。ヘタはもったいないので鉛筆を削るように取り除き、まずは縦に1cm厚、さらに1cm幅、最終的には長さ2cmほどになるようにカット。
このあと、水にさらしておきます。
次に大根。皮付きのまま幅4mm位の輪切りにし、縦と横に3〜4本の格子状、およそ3cm角にカットします。
切ったものはボウルに入れて塩を加え、軽く混ぜ合わせます。さらに水にさらしておいた茄子の水気を絞ったものを「追っかけ入れ」して軽く混ぜ、10分くらいおくとさらに水気が出るので、最後にぎゅっと絞ります。
さらに500gとは分量外ですが、生姜も入れるとアクセントになってよいよう。「千切りにしたほうが、具といいぐあいに絡んで、おいしくいただけると思います」とも。
そして主役の蓮根。大根と同じく皮付きのまま幅4mmくらいの輪切りにし、縦横3〜4等分の格子状にカットしましょう。
「硬くて切りづらいときは、最初に縦半分に切っておいてもいいですよ」とminokamoさん。
沸騰させたお湯に蓮根を入れ、ふつふつとしてきたら2分を目安に茹でて、ザルにあげておきます。
いよいよ福神漬けをつくります。
これらの仕込みがととのったら、あとは鍋で一気につくりましょう。
まずは鍋でだしをとります。今回使ったのは「ほんのり甘みを感じられておいしかったの」とminokamoさんいちおしの椎茸だし。ですが、もちろん茅乃舎だしでもおいしくつくれます。
だしパックは捨てずに、とっておいてくださいね。
そこに醤油60ml、酢大さじ2、みりん100mlを入れて強火で加熱し、沸騰したら大根、茄子、生姜、唐辛子を一気に入れて混ぜ、ふつふつしてきたら蓮根を入れ、混ぜ合わせます。
最後に別にしておいただしパックを入れ、さらにふつふつとさせたら、火を止めてできあがりです。
びんに入れたあとも、だしパックの出番。
熱いうちにびんに入れ、だしパックを一番上にのせ、冷めたら冷蔵庫に入れます。「このだしパックがあることで調味液が染み込みやすく、落とし蓋のような役目を果たしてくれるんです」
なんとも自由で、なるほど納得な、彼女らしいだしパックの活用法。最後までとことん使い切るのもminokamo味が滲み出ています。
「びんでなく、ポリ袋で保存してもOKです。また食べてる途中で汁に具がしっかり漬かったらパックは取り除いてくださいね」とminokamoさん。
福神漬けのつくり方
[材料](500g分)※野菜が合計で500g
※蓮根、茄子、大根は合計で500gとなればOK。
[つくり方]
- 大根は4mm幅の輪切りにし、縦横3〜4cmの格子状にカット。ボウルに入れ、塩小さじ1(分量外)を入れ、軽く混ぜる。
- 茄子はヘタを除き、縦に1cm厚にカット、さらに1cm幅にカットし長さ2cmほどにカットして水にさらしたらよく水気を切り、①のボウルに入れ大根と混ぜておく。生姜は千切りにする。
- 鍋に1リットルの水と塩小さじ2(分量外)を入れ、沸かす。その間に蓮根を大根と同じくらいの大きさにカットする。沸騰後、蓮根を入れ強火にして再度沸騰したら、2分を目安に歯ごたえが残る程度に火を通し、ザルに上げる。
- ②のボウルが15分経ったら手で水分をよく絞っておく。
- 鍋に水と椎茸だしを入れ、中火で加熱しふつふつとしたら20秒ほどでだしパックを引き上げ、別にしておく。醤油とみりんを加えて強火で熱し、沸騰したら生姜、②の茄子と大根、唐辛子を入れて混ぜる。ふつふつしてきたら蓮根を入れ混ぜ、別にしておいただしパックを入れ、さらにふつふつしたら火を止める。
- 熱いうちにびんに入れ、だしパックを落とし蓋のように一番上にのせ、冷めたら冷蔵庫に入れる。食べてる途中で漬け汁に具材がしっかり漬かるようになったらだしパックを取り外す。
「1時間ほど漬け込んだら出来上がり。ただ漬け込んですぐでも実は美味しいのが、福神漬けのいいところなんですよね〜」
ハレの日も、ケの日も福神漬け。
どことなく脇役な印象のある福神漬け。その理由としてすぐに思いつくのは、カレーの付け合わせですよね。
そのはじまりは、日本郵船の欧州航路船上の食堂。
もともとカレーの薬味はチャツネでしたが、ある時代用品として福神漬けを出したところ評判を呼び、次第に定番化した、というのが真相のようです。
しかし!ここではあえて、おもてなしにも使えるようなメニューにアレンジしていただきました。年末年始にかけて、おうちに招いてのごはんにも、活躍しそうですよ。
まずはこちら。おいしそう!
おもてなしに。福神ちらし寿司のつくり方
[材料](2合分)
炊きたてご飯
2合分
A
酢
大さじ6(90ml)
砂糖
大さじ2
福神漬
100g
お好みの具
適量
[つくり方]
- 炊きたてのご飯に、Aと福神漬けを入れて混ぜる。お好みの具を乗せたらできあがり。仕上げにさらに福神漬けを乗せても。
味の濃い福神漬けを混ぜ合わせるので、すし酢のなかには塩分を入れないのがポイント。「具は漬けマグロが合いそう。あと今回は贅沢に、いくらも入れちゃうおうかしら」
ここで調子にのって、さらにもっとおしゃれで、もっとかんたんなレシピはないですか?と(欲張りにも)聞いてみると、しばらく考えてから
「じゃあ、カッテージチーズとぶどうに、福神漬けを合わせてみましょうか」
仕上げにはオリーブオイルをたっぷりと。するとほら、こんなに意外で素敵な一品に。なんでもかなえてくれるminokamoさんに、感謝!
ただもちろん、人生はハレの日ばかりではありません。なんでもない日にこそ、minokamoさんは寄り添います。
漬け汁まで使える。カリカリそぼろ福神のつくり方
[材料](1人分)
鶏ひき肉
100g
福神漬け
50g
福神漬けの漬け汁
大さじ2
[つくり方]
- フライパンに鶏ひき肉と福神漬けの漬け汁を入れて強火で水分が飛ぶまで炒めたら、福神漬けを加えてすぐに火を止めてできあがり。仕上げに万能ねぎをのせても。
ここでの“ケのポイント”は、余った漬け汁が使えるところ。「いつも、何かに使えないかな?と考えちゃうんです。あとは、生卵と漬け汁を入れて卵かけごはんにしてもいいですよね」
と、つぎつぎとアイデアが湧くminokamoさん。私たちに「使い切る楽しみ」を教えてくれているようでした。
椎茸だしのご購入はこちら
https://www.kubara.jp/kayanoya/all_dashi/shiitakedashi/
昨年の秋にminokamoさんに教えていただいた「さつまいものジャム」。さつまいもでジャムなんてはじめて!とたいへんご好評でした。ぜひご覧ください。
秋の自家製をたのしむ。 さつまいもを煮てジャムに。


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私のこころをグッと掴んだのは「カリカリそぼろ福神」。派手さはないけれど、しみじみと安心感のあるこの姿。なんて魅了的なのでしょう。
袈裟丸