【長野おばあちゃん】茅乃舎の“おいしい”を支える人々

みなさま、こんにちは。
お久しぶりです。袋小路留でございます。
小さな醤油屋であった久原本家が、名を成すまでの道のりには多くの方々のご協力がありました。
そのほんの一端をご紹介できたら......。
茅乃舎の生みの親、<久原本家>の社主河邉哲司が起こした小さな奇跡から始まります。思えば、茅乃舎は奇跡の連続の上にあります。
今回はちょっとオーバーですが、〝奇跡の生七味〞にスポットを当ててみようと思います。

「茅乃舎」は、昔ながらの食文化を大切に守り伝えたいと思っています。

92歳でバリバリ現役。周囲を明るく照らすような人だ。

2002年のある日、夕刊を読んでいた河邉は、一人の農家のおばあちゃんの記事に目が止まります。
ちょうどその頃、イタリアで触れたスローフード運動に深く感銘を受けていた河邉は「この人こそまさにスローフードの実践者ではないか」と感動します。その人は長野路代さん。当時、71歳でした。
記事を書いたのは、西日本新聞筑豊総局の佐藤弘記者。記事を書く1年前、初めて長野さんに会ったときの印象をこう語ります。「見識、センス、人柄、体験に裏打ちされた言葉の重み.....。ただもんじゃないことは、すぐわかりました」。そして、「ぜひとも世に出したいひとりだった」と。

反響の大きな記事だった。ひとりの女性の生きざまが感動を呼んだ。おばあちゃんの知恵袋には、まだまだ宝が詰まっている

河邉もまた、「この人はただものではない。今の私たちに必要な知恵を持っている人、教えを乞うべき人だ」とピンと来たと言います。「勉強させてもらうべき」と、すぐに茅乃舎を担当する荒巻和彦に声をかけます。「まだ、<御料理茅乃舎>ができる前のこと。スローフーズ課(のちの美田)のスタッフを連れて、すぐに長野おばあちゃんを尋ねました」(そうなんです。久原本家では尊敬の念と親しみを込めて、長野さんのことを”長野おばあちゃん”と呼んでいます)。農作業を手伝いながら、畑の野菜でつくる農家料理を食べさせてもらったスタッフは、その素朴なおいしさに感動。長野学校”通いが始まります。

日本ならではの知恵や心配りを随所に。

生らっきょうのじゃこ煮。ささっとできる一品だ。

長野さんは福岡のへその町”筑前内野村(福岡県飯塚市)の農家の生まれ。戦後すぐ、15歳で母を亡くし、以来、一家の食事を一手に担ってきました。23歳で結婚してからは、本家の嫁として、身近にある旬の食材や野草を使い、地元の習わしや四季の行事など、日本ならではの知恵や心配りを大切に努めてきました。
進取の気性にも富んでいて、60歳になったとき、近所の女性たちと、食で地域を活性化することを目標に「野々実会」を結成。加工食品の開発にも取り組みます。最初に完成した「手作りノンオイルゆずドレッシング」は、福岡県農産加工品コンクール展で優秀賞銀賞を獲得。赤麹やこしょうみそなど、次々と新製品を開発していきます。これらの商品は、今もヒットを続けています。

「生七味」は、驚くほど好評をいただきました。

自家製の味噌でつくる味噌汁に手作りの柚子胡椒を。

これまで培ってきた暮らしの知恵を、惜しみなく与えてくれる長野さん。「茅乃舎」のスローフーズ課のスタッフは少しずつ学んでいきました。唐辛子を植えて、柚子胡椒のつくり方を教わったり、イタリアのトマトの苗を植えて育て、ケチャップやソースをつくったり。数々のトライアルを続けました。ただ、ほんとうに小さな規模でしたが。自社で栽培した唐辛子を使い、長野おばあちゃんに教えてもらったやり方で、青柚子胡椒、赤柚子胡椒、黄柚子胡椒など手作業でつくっていたのです。「志は高かったのですが、なにしろ手づくり。できる数は少なかったですね」と荒巻は言います。

そんな中、スタッフのひとりがおもしろい商品を思いつきます。長野さんの畑には、びっくりするほど大きな山椒の木があります。その実の香りが素晴らしくいいんです。スタッフのひとりは大の山椒好き。この香りを生かしたいと思います。「京都の七味には山椒が入ってるけど、あれは乾燥もの。生の山椒の香りを生かすためにはペースト状にして、柚子胡椒みたいな生の七味にしたらいいんじゃないか。陳皮は柚子に替えればいい」発想はそんなシンプルなものでした。

びっしりと実をつけた山椒の木。手でプチっとつぶしてみると、いい香り。

生七味の材料は、生姜、黒ごま、柚子、自社栽培の唐辛子、海塩、青海苔、そして手摘み山椒の7種。「材料は上質なものをこだわって選びました」と荒巻。ちょうど巷では、食べるラー油の全盛期。生七味が発売されるや、次なる食べるラー油として、思いがけず大好評を得ます。そして、味噌汁やうどん、鍋の薬味というよりも、ごはんにのせる食べ方がブームに。以来、時の流れとともに小さな変更を重ねながら、長く愛される商品になりました。

小さな瓶だが、秘めたるパワーは絶大。料理を引き立て、おいしさをアップする。一家に1瓶は万能薬味だ。

2005年に〈御料理茅乃舎〉がオープンすると、「コースの中に何かお客様を惹きつけるスペシャルな料理を」と考えていた河邉。コースの中に長野おばあちゃんのひと皿を加えてはどうかと思います。「地元のものを使った、素朴だけれど豊か、そしてホッとする一品が生まれました」と荒巻。料理教室も開かれ、地元に根ざした農家料理が評判を呼びます。長野さんのお話はよどみなく楽しくて、ためになることばかり。長野さんを通し、河邉が望む、伝統の食文化を守り伝えていくことができてきました。長野さんとのおつき合いは、今も大切に続いています。今年の6月のある日、案内していただき、長野さんの畑を訪ねました。生七味のアイデアの源、実山椒がたわわに実っています。

食材を生かしきる料理の数々。何を食べてもおいしい。

一瞬もじっとすることがない。

畑はきれいに手入れが行き届き、ツンツンと上を向いた唐辛子も、元気に育っていました。「もうちょっとね」と長野さん。さっさと歩く姿は、とても92歳には見えません。季節外れの炎天下、汗をかいた一行。長野さんが用意してくださった昼食をいただきます。おくんち料理のひとつという香りのいい柿の葉寿司、トマト、きゅうりの野菜寿司、「ゆりねのようにふわっとした食感になる」珍しいらっきょうのじゃこ煮、茄子の揚げびたし、手作りこんにゃく、大根ときのこと八つ頭の小芋の味噌汁など、てきぱきと仕上がっていきます。

じゃがいもの煮っ転がし
高菜炒めに炊きたてご飯を入れて高菜ごはんに。
茄子の揚げびたし。ごはんが進むおかずだ。

どれもこれも、からだが喜ぶ味ばかり。日本人のDNAが呼び覚まされる味です。「私の料理は〝今ある食材〞でつくるのが基本。夏になると、トマトときゅうりがどんどんできるでしょう。だからそればかり使う。8品も10品もつくる。それを〝ばっかし料理〞と呼んでるんですけど、同じ食材でいろんな料理をつくるのが、知恵なんです」と長野さん。おいしい料理をいただき、長野さんの含蓄のあるお話を聞きながら、すべてを包み込むような温かい人柄に触れ、長野さんは〈久原本家〉の精神的支え、魂の母なのだと実感しました。

【物語1】茅乃舎だしの故郷は、福岡市郊外のホタルの里にありました。

【秘密1】茅乃舎のだしのおいしい秘密は、「焼きあご」の存在です。

<御料理 茅乃舎>のしみじみおいしい“里山料理”の秘密

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