ワタナベマキさんに教わる、3つの冷たいだし料理
「夏はやっぱり、さっぱりしたものがいい。だけど、サラダや冷奴ばかりじゃ飽きちゃいます」
分かりますよ、その気持ち。
「おだしの染みた、おなかにやさしいものが食べたいなぁ。だけどアツアツな料理は今の時期、ちょっと……」
分かります。
「冷たいだしの料理はお店でいただくとおいしいなと思うけれど、家で作るにはどうすれば?うまくいくかな……」
これらをすべて分かって、汲んでくださった上で、いい塩梅の、冷たいだし料理を教えてくださったのは、料理家のワタナベマキさん。
「冷たくする場合、少し濃いめにだしをとるといいですよ」
その他、おいしいアイデアがじゅわっと染みこんだ、3品のレシピをご提案くださいました!
まずは、いつもの料理を冷やしてみる
おだしの効いた煮もの、アツアツじゃなきゃだめ?いいえ、冷やしても違うおいしさが味わえるものもあるんです。
ワタナベさんが教えてくださったのは、金沢の郷土料理「治部煮」。
「夏野菜にすること、そして鶏肉に片栗粉をまぶすことで、冷たくしてもつるん、と喉越しよく食べられるんです」
さっそく作り方、ご覧に入れましょう。
さっぱり、やわらか、とろっとろ
夏野菜と鶏肉の冷だし煮
とにかく鶏肉がやわらかく、片栗粉がうまみを閉じ込め、とろみのある甘辛い汁に、よく絡んでくれるのです。仕上げに添えた青紫蘇とともにいただくと、さっぱり感も、さらに!
材料/つくり方 材料/つくり方
[材料]
2袋
水
400ml
鶏胸肉(皮なし)
180g
玉ねぎ
1/2個
獅子唐辛子
10本
とうもろこし
1本
生姜(すりおろし)
1片分
酒
大さじ1
醤油
小さじ1
片栗粉
大さじ1
青紫蘇
4枚
[つくり方]
- 玉ねぎは1cm幅のくし切りにし、とうもろこしは5等分の半月切りにする。獅子唐辛子は軸を切り落とす。青紫蘇は細切りにする。
- 鶏肉は1.5cm厚の削ぎ切りにし、片栗粉を薄くまぶす。
- 鍋に茅乃舎だし、水、酒を入れ中火にかける。沸騰後弱火で4〜5分煮てパックを取り出し、生姜、醤油を加える。
- 玉ねぎととうもろこしを入れ中火にかけ煮たったら弱火にし、②を入れふたをして2分煮る。
- 獅子唐辛子を加えさらに1分ほど煮て、火を止めそのまま冷ます。
- 冷蔵庫で30分〜1時間冷やし、青紫蘇を添えていただく。
だしに漬け込んで冷やす
お次は「漬け込む」ことで、じわじわと味わいが染み込んでいく料理です。おもしろいのは、冷たいだしに梅干しを加えること。
「梅干しは、砂糖や塩と同じくらい身近で万能な調味料。酸味とうまみが立つことで、さっぱりしながら食べ応えもある。もちろん、冷たいだしとの相性も最高です」
このほど、梅料理のレシピブックを上梓したばかりの、ワタナベさんらしい一品です。
食もお酒もすすむ、酸味とだし
鶏ささ身と冬瓜の梅びたし
材料/つくり方 材料/つくり方
[材料]
[つくり方]
- 冬瓜は皮をむき3cm厚さに切る。鶏ささみ肉は筋をとる。梅干しはタネをとり、包丁で叩く。
- きゅうりは、はさむように両側に箸を置き、片面に細かく切れ目を入れ蛇腹状にする。塩をなじませ10分ほどおき、水気をペーパーでふき、食べやすい大きさに切る。
- 別の鍋に湯を沸かし、塩少々(分量外)を加える。冬瓜を入れ約2分茹でざるに取る。
- 同じ湯に酒大さじ1を加え、鶏ささみ肉を加えて1分半茹でる。火を止めて10分ほどおき、水けを切る。
- 鍋に昆布だし、水、酒大さじ1を入れ、中火にかける。沸騰後弱火にし4〜5分煮てだしパックを取り出し、火を止め梅干しを加える。
- すべての具材を⑤に浸し、冷蔵庫で、30分〜1時間冷やす。
ぜひチャレンジして欲しいのは、きゅうりの“蛇腹切り”。
「きゅうりの両側を箸ではさみ、包丁が下までいかないようにした状態で細かく切れ目を入れていくと、蛇腹になります。だしもしみこみやすくなりますよ」
そして最後は、こちら。
魚のくさみは、スパイスで解決!
タコとトマトのクミンマリネ
だしは冷やすことで魚のくさみが出やすいと言われていますが、アジア生まれの料理には、それらを解決してくれる知恵がたくさん。
「やっぱり、スパイスは効果的ですよね。今回はクミンシードを使いましたが、生姜やフェンネルも、魚臭さはおさえられます。またあえて魚醤(ナンプラー)を重ねることで、くさみを相殺させるという方法も」
材料/つくり方 材料/つくり方
[材料]
[つくり方]
- たこは水洗いしペーパーで水気をしっかりとふく。
- 紫玉ねぎは繊維に沿って薄切りにして水に3分さらし、水気を切ってペーパーでふく。トマトは2cm角に切る。パセリはみじん切りにする。
- フライパンにクミンシードを入れ弱火にかけ、香りが出るまで煎る(焦がさないように注意する)
- ボウルに①②③を合わせ、茅乃舎だしを袋を破ってふり入れ、なじませてからレモン汁、オリーブ油を加えさっと和える。
- パセリを加える。
ポイントは、だしパックを破って、中身の粉をそのままふりかけること。するとスパイスとだしの粒子が合わさって、複雑でうまみのある表情が生まれます。
夏こそ「だし」を活用しましょう。
だしといえば、どこか秋冬のあったかい料理に使うもの、と思いがちですが。
「夏に冷たいだしをうまく活用すれば、さっぱりとした中にうまみも感じられますし、少し濃いめにして塩気を強くすることで、味にメリハリが出て、おいしくなります」
はい、覚えておきましょう。
ワタナベマキさん
1976年生まれ。 神奈川県出身。 グラフィックデザイナーを経て、2005年に「サルビア給食室」を立ち上げ、料理家としての活動をスタート。 ケータリングから始まり、雑誌や書籍、広告、テレビなど多方面で活躍の場を広げながら、多数のレシピ本を出版。近著に『ワタナベマキの梅料理』(NHK出版)がある。
茅乃舎だしのご購入はこちら
https://www.kubara.jp/kayanoya/all_dashi/kayanoyadashi/
昆布だしのご購入はこちら
https://www.kubara.jp/kayanoya/all_dashi/konbudashi/
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