今までにありますか? ひじきについて考えたこと。
ひじきって、どこか副菜感があって、なかなか注目される存在ではないけれど・・・。
ひじきのお料理が食卓に出ると、なんとも言えない奥ゆかしさで、実家を思い出すようなあたたかな家庭感に包まれます。ひじき料理をつくれると、なんだか和食の腕がアップした気持ちにもなってしまいますね。
それに。
なんと言っても、ひじきの最大の魅力は、栄養たっぷりの海藻だということ。海藻は日本人と相性がいいとも言われますし、積極的に取り入れたい食材のひとつです。
だから、今こそ。 注目します!ひじきに。
いざ、注目してみると、ひじきに申し訳ないほどに何も知らないことに気づきます。
いつ頃収穫されている? どこで育つ? どう育つ? もう、謎だらけです。そこで、ひじきの収穫風景を見学にお邪魔してきました。一緒に学んでいきましょう。
日本にはひじきの産地がいくつかあります。房総半島、伊勢志摩、紀伊半島、四国、九州が産地として有名です。じつは、ひじきは韓国や中国からの輸入ものがほとんどで、国産ものは少ないのです。国産ひじきは、ほぼ天然もの。海域の違いによって、それぞれの浜で特徴があり、同じ県内でも芽の長さや食感、色合いが異なるのだそうです。天然もののおもしろさです。
今回は、九州のとある海辺にお邪魔してきました。さっそく、小型船に乗ってひじきの収穫場所へ!
底まで見えるような、透き通ったうつくしい海。着岸しようと近づいていくと、浅瀬にゆらゆらと大量の海藻が浮かんでいます。
あれ? これが、ひじき?
子どもの頃によく見ていた海藻では?
驚きを隠せずにいると、「それは違うよ。それは藻(も)で、こっちがひじき」と漁師さん。
見分け方は「茎の各所から横に芽が生えているのがひじき」なんだそうです。見比べてみるとなんとなく分かりますが、最初はなかなかの難しさです。
潮が引いている時は、足が付くほどの浅瀬。ひじきは、海底の砂地の石や岩場にしっかりと根を張り、波の動きに合わせるようにして海面をゆらゆらと泳いでいます。体に絡んでしまいそうなくらい、長く長く育ったひじきの茎。茎からぎっしりとたくさんのひじきの芽が育っています。
「長ければ長いほど、芽がたくさん採れるのでいいひじき。長いものでは1mほどにも。ひじきでいちばん厄介なのは、ひじきに付いてしまう海の付着物。例えば、貝殻のかけらなどです。海流や満ち引きがある方が、水流の力で付着物が振り落とされるので、きれいなひじきが採れます。ひじきは収穫よりも、後処理に手間がかかるんですよ」。
岩場を縫うように潜りながら、鎌を片手にひじきの茎を手作業で刈っていきます。午前中の数時間の収穫で、小型船いっぱいの量を収穫するそうです。
ひじきの収穫は年に1回。春に始まります。その土地土地で収穫の解禁日が定められているそうで、見学にお邪魔した地域では、ことしは4月1日の解禁を機に約2ヶ月間が収穫期。陸の沿岸や少し離れた島へ船を出して、ひじきを収穫します。
収穫をしたら終わりではなく、そこからまだまだもうひと仕事も、ふた仕事も。
まずは、収穫したひじきを陸まで持ち帰り、すぐに地面に広げて
天日干しをします。
「指に刺さるくらいに、カリカリになるまで干します。天候によって異なりますが、表を1日、裏返してもう1日。ひじきを乾燥させていきます」
ここからが、たいへん!
ひじきに残っている貝殻などの付着物を目視して取り除いていくのです。
あの小さなひじきの芽を!です。ここまでが漁師さんのお仕事。たくさんの芽を、ひと口で食べてしまうひじきですが、こんなに細やかな作業をしていただいていたのかと、生産者の方々にはありがたい気持ちでいっぱいです。
じつは、一本の茎から、芽ひじきと長ひじきと2種のひじきが採れます。芽ひじきは、茎から出たぷっくりとした実の部分。しゃきしゃきとした歯ごたえがあります。茎の部分を長ひじきと呼び、もちもちとした食感です。一般的に普段味わっているのは、芽ひじきの方です。
気がかりなお話もお伺いしました。国産の天然ひじきは、特にここ3年、急激に全国で収穫量が減っているそうです。海水温の影響や栄養源の急激な低下によるもの。
そのため、今は国内でも、天然ひじきの幼芽をロープにつけて、ひじきを養殖して生産を増やすための取り組みも実験されているそうです。
今回取材させていただいた国産の芽ひじきは、茅乃舎の御飯の素シリーズにも使用させていただいています。ふっくらと炊いたひじきのおいしさをぜひお楽しみください。
炊き込みご飯の素 ひじき五目はこちらから。
https://www.kubara.jp/kayanoya/gohan/gohan/244900/
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ひじきについて、はじめて知ることばかり。いつも食べている食材のことも、どんな場所で、どんな姿で、育っているのかを考えてみると知識が広がりそうですね。
袈裟丸