今年収穫された「新米」が店頭に並び始めました。艶があってふくよかなお米をおいしく味わうために、改めてお米の基本をおさえましょう。
新米はその年にとれたお米のことで、年末までに精米、包装されたものを指します。全国の産地のものが出揃うピークは9〜10月。
艷やかで香り高く、炊きあがりもふっくら。そんな新米の季節を心待ちにしている方も多いでしょう。今回はお米をよりおいしく味わうためのポイントをお米のプロにうかがいました。
お話を聞いたのは、福岡県友丘にある「屋部商店」五ツ星お米マイスターの中島拓海さん。 「新米に限らず、お米を選ぶ際に気にかけていただきたいのが、粒が揃っているか。良いお米はふるいにかけて、小さな粒や割れているものが混ざらないようにしています。また精米日が近いと劣化が少ないので、袋の表示もチェックしましょう」。
新米はフレッシュな香りが持ち味。さらにお米は表面にうまみの層があり、研ぎ方で炊きあがりに差が出ます。「傷つけないように、2分以内で優しく手早く研ぐことが大切」と、中島さんのお母さんが基本の研ぎ方を実践してくれました。
さらにお米のうまみを逃さないためにも、浸水と蒸らしは必要な工程とのこと。「研いだお米を30分〜1時間水に浸しますが、デンプンが溶け出さない15℃以下の水を使用するのがポイントです」。水に浸してラップなどで蓋をし、冷蔵庫に入れても良いそうです。
その後、炊飯器や土鍋で炊きますが、土鍋の場合は炊きあがり後15分ほど余熱で蒸らして芯までふっくら仕上げます。毎日食べるものだからこそ基本を意識して、おいしい新米との出会いも楽しみましょう。
この日は新米のおいしさを堪能できるおにぎりをご馳走になりました。米粒が立って口の中でほぐれる絶妙な握り加減。炊きあがったご飯をお皿に広げて、空気を含ませてから握るのがポイントとのこと。それをふわっと丸く握ってから、軽く押さえて三角形に成形します。
白むすびはもちろん、アレンジおにぎりのレシピも教えていただきました。
「実は新米の中でも、品種や品質によって、2月頃に熟成されておいしくなるものもありますよ」と中島さん。新米が、奥深いお米の世界を知るきっかけになりました。贔屓のお米屋さんを見つければ、好みや用途によって選ぶ楽しみも増えそうです。
昭和32年創業。玄米仕入れの米の専門店。五ツ星お米マイスターの中島拓海さんが厳選した九州産をメインに、精米したてのお米を量り売りで販売。
http://kome.st
文/生野朋子 写真/勝村祐紀