弥生時代は、今のように白米一辺倒ではなく、様々な雑穀が各地で育てられていたと言われています。中でも赤米は命をつなぐ神秘的な存在でもありました。痩せた土地でもすくすくと育ち、ビタミンや食物繊維を含む赤米を今も福岡県糸島市で育てている方がいらっしゃいます。その赤米を、「御料理 茅乃舎」は創立当時から看板料理である十穀鍋の素材として使っています。
香り豊かな山椒を育むのは、夏は酷暑が続き、冬は氷点下になるという、寒暖差の激しい土地。寒さから種を守るため、皮が厚く、上質な山椒が育ちます。農家の方は、タイミングを見極めて、実を傷つけないよう、素手で爪の先を使い、ひとつひとつ千切っていきます。その日に焼けた手は、山椒にかける想いと誇りの証です。
鹿児島の鰹節生産者のもとに通い、試行錯誤しながらつくりあげたのが「鰹魚醤」です。当初はくさみに苦労し続け、今の配合バランスにたどり着いたのは三年を過ぎたころでした。刻んだ鰹に、醤油麹などを加えてじっくりと待ち、フルーティな発酵の香りが漂い始めたら、うまみができている証拠。時間も手間もかかる原料ですが、茅乃舎の様々な調味料に使われている密かな功労者です。
年々減り続けている原木栽培農家。その理由は、多くの「ほだ木」を1本1本切り出し運び、山ごと管理するという重労働と、かかる歳月にあります。原木を切るところから採算ベースにのるまで、およそ2年。その分だけうまみが濃く、香り良い椎茸ができます。年月を経たほだ木は、やがて朽ちて良質な土となり、畑の肥やしに。自然の中で原木栽培を守り続けている農家の方と、茅乃舎はともに歩みたいと思っています。
野菜だしのもっとも主要な原料は玉ねぎ。甘みやうまみといった味わいに加え、香ばしい香りやフレッシュ感など、奥行きを出すために複数の玉ねぎを組み合わせています。いろんな産地がありますが、とりわけ北海道は寒暖差が激しいため、甘みの強い玉ねぎができあがります。雪がとけた4月から植え付けをし、夏の終わりから収穫していきます。収穫後に保存された、水分の少ない玉ねぎを使うことで、コクのあるだしができあがります。
日本のだしを支える昆布。実は潮の入り、河川の流れ、日当たりなどでも味は左右され、昆布に浜の固有名が付けられていることもあるほどです。天然ものは2年かけて、2~3メートルに育つため、船で刈り取ります。干し上げた昆布は、半年ほど寝かせます。その後も家族総出で、「六十手数」ともいわれるほど多くの手間ひまをかけて上質な昆布ができあがります。海や天候の変化に影響を受ける厳しい環境のなか、良いものをつくろうと前を向く漁師の方々のひたむきな姿に、わたしたちも良い製品で応えたいと想います。
茅乃舎品質のものづくり 「茅乃舎だし」
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